第2回 カルマの法則

<カルマの法則>

力ルマとは、ヒンズー教における因果応報の考えです。
言い換えれば、あらゆる作用には、
同等で逆向きの反作用があるという考えです。

カルマはヒンズー教だけでなく、仏教やジャイナ教も含め、
あらゆる東洋の宗教に不可欠な要素であり、
ヒンズー哲学のあらゆる学派で論じられています。

カルマの概念は、輪廻論の基礎でもあります。
輪廻とは、人間も動物もすべての生き物は、
「悟り」の状態に達するまで、
誕生と再生を繰り返すという考えです。

悟りを開いたときに、
万物は苦悩を本質とする現世への誕生を繰り返す輪から、
救済つまり解放される準備ができるのです。

解脱と呼ばれるこの解放こそが、
現世に肉体を与えられたすべての存在が目指す究極の目標です。

アーユルヴェーダでは、
病気はカルマによって起こると考えられています。

他のいかなる理論も、この世の高潔な人々や子供たちの受難を、
十分に説明することはできません。

この理論が示唆しているのは、無慈悲な神という考えではなく、
公正でバランスのとれた普遍的存在と意識の概念です。

全体として調和のとれた存在となるために、
プラスとマイナスの力はすべて自動的に調整されるのです。

※調和のとれた生き方
 アーユルヴェーダでは、道徳的な生き方こそ
 調和への道であると考えられています。

<カルマの形>
ヒンズー教では、個人のカルマには
3つのタイプがあるとされています。

○プララブダ・カルマは、人がもって生まれたカルマで、
 前世のカルマのことです。
 つまり、もしあなたが前世で冷酷な夫だったとしたら、
 それが今世や来世の結婚にも影響するのです。
 別の人生では、冷酷な妻になるかもしれません。

○サンチッタ・カルマは、今世の行動や思考によって
 蓄積してきたカルマです。

○アガマ・カルマは、今世または来世における
 これからの行動で生まれるカルマです。

アーユルヴェーダの考えでは、
病気は積み上げられた悪いカルマによって起こり、
医学的治療だけでは治らないとされています。

インド占星術を用いて、自分の個人的なカルマの性質や
病気の原因となるカルマを理解し、
自分の病気を医学的治療によって
どれだけ治せるかを知ることができます。

<カルマの消去>

アーユルヴェーダの神聖な原典であるチャラカ・サンヒターには、
次のように明確に表現されています。
「すべての病気は、その原因となっているカルマを
 完全に消し去ってはじめて完治する」

※間接的な方法
 アーユルヴェーダでは、
 瞑想のような習慣的な精神修養が
 健康のためになるとされています。

<原因と結果>

カルマの意味は何世紀もの間に変わってきましたが、常に行為、
特に宗教的な行為についての認識を中心に展開されています。

カルマという概念は、好ましい結果または思わしくない結果を生む、
善い行為または悪い行為を指すようになっています。

大きな病気、慢性の疾患、不妊、醜く重い皮膚病、
そして心の病などは、アーユルヴェーダでは
悪いカルマの結果とされているのです。

※深刻な病気
 カルマによって引き起こされた病気は、
 祈りや敬虔な行為、礼拝、そしてマントラの誦唱で治療します。
 こういう治療法には、十分ではないにしても
 少なくともある程度は、深刻な病気に対する効果がある
 というのが、おおかたのアーユルヴェーダ医師の意見です。

※カルマの解放
 敬虔な信心にはさまざまな形があり、
 悪いカルマを解き放つのに役立ちます。

<カルマの影響>

・体の状態…人の健康は、蓄積された過去のカルマで決まる場合があります。
・知覚…世界をどう理解するかが、世界とどう関わるかを決定します。
・感情…否定的な感情は、悪いカルマを助長することがあります。
・気質…人の性分は、過去世における行動の結果かもしれません。
・意識…カルマの法則によると、人の魂や精神は肉体の死後も存続します。

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