<カルマの法則>
力ルマとは、ヒンズー教における因果応報の考えです。
言い換えれば、あらゆる作用には、
同等で逆向きの反作用があるという考えです。
カルマはヒンズー教だけでなく、仏教やジャイナ教も含め、
あらゆる東洋の宗教に不可欠な要素であり、
ヒンズー哲学のあらゆる学派で論じられています。
カルマの概念は、輪廻論の基礎でもあります。
輪廻とは、人間も動物もすべての生き物は、
「悟り」の状態に達するまで、
誕生と再生を繰り返すという考えです。
悟りを開いたときに、
万物は苦悩を本質とする現世への誕生を繰り返す輪から、
救済つまり解放される準備ができるのです。
解脱と呼ばれるこの解放こそが、
現世に肉体を与えられたすべての存在が目指す究極の目標です。
アーユルヴェーダでは、
病気はカルマによって起こると考えられています。
他のいかなる理論も、この世の高潔な人々や子供たちの受難を、
十分に説明することはできません。
この理論が示唆しているのは、無慈悲な神という考えではなく、
公正でバランスのとれた普遍的存在と意識の概念です。
全体として調和のとれた存在となるために、
プラスとマイナスの力はすべて自動的に調整されるのです。
※調和のとれた生き方
アーユルヴェーダでは、道徳的な生き方こそ
調和への道であると考えられています。
<カルマの形>
ヒンズー教では、個人のカルマには
3つのタイプがあるとされています。
○プララブダ・カルマは、人がもって生まれたカルマで、
前世のカルマのことです。
つまり、もしあなたが前世で冷酷な夫だったとしたら、
それが今世や来世の結婚にも影響するのです。
別の人生では、冷酷な妻になるかもしれません。
○サンチッタ・カルマは、今世の行動や思考によって
蓄積してきたカルマです。
○アガマ・カルマは、今世または来世における
これからの行動で生まれるカルマです。
アーユルヴェーダの考えでは、
病気は積み上げられた悪いカルマによって起こり、
医学的治療だけでは治らないとされています。
インド占星術を用いて、自分の個人的なカルマの性質や
病気の原因となるカルマを理解し、
自分の病気を医学的治療によって
どれだけ治せるかを知ることができます。
<カルマの消去>
アーユルヴェーダの神聖な原典であるチャラカ・サンヒターには、
次のように明確に表現されています。
「すべての病気は、その原因となっているカルマを
完全に消し去ってはじめて完治する」
※間接的な方法
アーユルヴェーダでは、
瞑想のような習慣的な精神修養が
健康のためになるとされています。
<原因と結果>
カルマの意味は何世紀もの間に変わってきましたが、常に行為、
特に宗教的な行為についての認識を中心に展開されています。
カルマという概念は、好ましい結果または思わしくない結果を生む、
善い行為または悪い行為を指すようになっています。
大きな病気、慢性の疾患、不妊、醜く重い皮膚病、
そして心の病などは、アーユルヴェーダでは
悪いカルマの結果とされているのです。
※深刻な病気
カルマによって引き起こされた病気は、
祈りや敬虔な行為、礼拝、そしてマントラの誦唱で治療します。
こういう治療法には、十分ではないにしても
少なくともある程度は、深刻な病気に対する効果がある
というのが、おおかたのアーユルヴェーダ医師の意見です。
※カルマの解放
敬虔な信心にはさまざまな形があり、
悪いカルマを解き放つのに役立ちます。
<カルマの影響>
・体の状態…人の健康は、蓄積された過去のカルマで決まる場合があります。
・知覚…世界をどう理解するかが、世界とどう関わるかを決定します。
・感情…否定的な感情は、悪いカルマを助長することがあります。
・気質…人の性分は、過去世における行動の結果かもしれません。
・意識…カルマの法則によると、人の魂や精神は肉体の死後も存続します。